Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

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No.12 森林資源調査による発電用木質バイオマス安定調達に関する研究 - 岡山県真庭市の事例より -

2020年3月10日
京都大学大学院経済学研究科 修士課程 王鴻漸

 古くから豊かな森林資源を有している日本においては,FITの対象となる木質バイオマスの賦存量が特に大きく,木質バイオマスエネルギー利用のポテンシャルは高い。中には、戦後から林業と木材産業が盛んで多くの製材業者が存在しており、中国山地の真ん中に位置する岡山県真庭市は、独自なビジネスモデルを持ち、地元企業をはじめ、行政・森林組合など多くの主体が協力して木質バイオマス発電事業に取り組んできた。そこで本稿は,森林資源調査によって真庭市バイオマス発電所未利用材の潜在可能利用期間を推計し、長期的に木質燃料の安定調達を可能にするための課題発見及び対策提出を行うことを目的として研究調査を行った。その結果、本稿はバイオマス発電所の未利用材の利用割合を確保できる期間は5~12年と推計し,将来における燃料不足の主な原因は賦存量の不足ではなく,伐採可能性の問題であるため,林内路網などの基盤整備や素材業者など事業体の育成を進め,危険を伴う作業は林業ロボット化する等,総合的に生産基盤を整備していく必要性があるという結論に辿り着いた。

キーワード:再生可能エネルギー,木質バイオマス発電,燃料調達,地域再生,森林資源