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再生可能エネルギー経済学講座

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No.13 表明選好法を用いた風力発電の社会的受容に関する論文レビュー

2020年4月27日
京都大学大学院地球環境学堂 博士後期課程 岩田健吾

 2015年に採択されたパリ合意などでみられるように,「エネルギーの脱炭素化」は地球規模で喫緊の課題となっている。このような情勢の中,世界的に風力発電の開発が拡大しつつあり,特に欧州の進展が目覚ましい。しかし欧州に比べ,国内における風力発電の社会的受容や合意形成に係る法整備・政策的な調和は遅れており,学術的な側面からも,国内における風力発電を中心とした再生可能エネルギー(RES)の社会的受容に係る研究蓄積が乏しい。

 そこで本稿は,風力発電を中心としたRESに対する社会的受容 ―特に表明選好法が用いられている実証研究の先行研究サーベイを行い,これまでの知見を整理した。サーベイの結果,重要と思われるポイントは,以下の4点に纏められる。

(1)RESは,社会的費用は低いが高価であるため,普及が妨げられてきた。対して従来型エネルギーは廉価ではあるが,外部性が反映されていない。

(2)表明選好法を用いた研究では,RESに対する様々な外部便益が明らかにされている。しかし「親しみの欠如」が採用をためらう原因の一つとなっている。

(3)NIMBYのみでは風力発電に対する社会的受容を十分に説明できない。風力発電に対する反対は,個人・地域的な理由のみではなく,社会的機会費用を考慮している可能性がある。

(4)風力発電の開発・計画において,反対者グループ,支持者グループ共に強固な”Green”な選好を有する「Green vs. Green議論」が存在する。

 最後に,先行研究サーベイより得られた知見をふまえ,国内の実証研究の発展性について考察した。

キーワード:風力発電,洋上風力発電,社会的受容,外部性,表明選好法