Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

本講座(第2期)は、2024年3月31日をもって終了いたしました。

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No.39 東日本送電網の2030年のLMP分析 -LMPを用いた送電混雑の分析-

2022年3月
内藤克彦*, 栗山昭久, 劉憲兵, 津久井あきび
* 京都大学大学院経済学研究科 特任教授

東日本送電網の2030年のLMP分析_掲載版 送電管理の問題については、東電方式による実潮流の送電管理が、「電力ネットワークの次世代化に向けた中間とりまとめ」 によれば、全国に適用される方向で決定されている。また、同報告によると、政府は将来的にLMP(Locational Marginal Price: 地点別限界価格)を導入する方向で検討を進めている。米国においては、LMPによる電力卸売市場の運営が行われているが、LMPは単に地点別の電力卸売価格を示すだけではなく、電力の地域的な過不足の状況や送電線の状況を示唆する指標としても機能する。IGES(地球環境戦略研究機関)のプロジェクトとして実施された「実潮流に基づく送電線運用を行った場合の東日本の再生可能エネルギー導入量評価」の研究においては、現況送電線のままで、再生可能エネルギーを各団体の2030年目標程度まで導入した場合の出力抑制の発生の状況等について分析したが、本論文では、同研究で計算した東日本のLMPがどのような値で分布するか分析した。その結果、2030年目標レベルの再生可能エネルギーの導入では、現況送電線のままでも実潮流による送電管理の導入により、わずかな出力抑制しか発生しないことが明らかとなっている。このため、LMPの値の分布にも特定の送電線の日常的な混雑によると起因されるような顕著な差異は見られず、LMPの値は、需要の大きい都市部で高くなり、再生可能エネルギー電力が大量に流入される地域では低くなる傾向となっている。