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京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

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No.47 旧一電による相対契約での内外差別は、価格高騰を増幅させる

2023年6月22日
八田達夫
公益財団法人アジア成長研究所 理事長

 本稿の目的は、旧一電による社内小売部門と社外小売事業者との間における相対契約での差別が、寒波などが引き起こす価格高騰を増幅させていることを示すことである。旧一般電気事業者(旧一電)の発電部門は、社内小売部門とのみ、変動数量契約の一種である制限的変動数量契約(「UR契約」)を結んでいる。この契約には、契約料金を抑制するために、契約内で購入した電力の取引所への再販禁止などの条件が付けられている。本稿は、差別的に結ばれている UR契約について三点を明らかにする。第 1 に、この契約は、資源を非効率に配分する。UR契約下の小売部門は、寒波などで市場価格が上昇する状況でも、安い契約価格で仕入れ続けることができるため、市場価格で仕入れる新電力と異なり、節約をする動機を持たないからである。

 第 2 に、発電部門が小売部門と UR契約を結ぶ場合には、寒波などが生む市場価格高騰時にも節約をしないため、確定数量契約を結ぶ場合と比べて、価格高騰を増幅させる。第3に、発電部門に相対契約における内外無差別が義務付けられた場合、UR契約は、存在し得なくなる。ここで、内外無差別とは、「すべての小売事業者が、旧一電の小売部門と同一の契約条件の契約を結べるようにすること」である。結論として、旧一電の発電部門に対する内外無差別性の義務付けは、UR契約が生む価格高騰の増幅効果を取り除き、資源の効率的配分を回復することが示される。

キーワード:電力市場, 変動数量契約, 旧一般電気事業者, 電力価格, 電力取引所, 内外無差別