Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

本講座(第2期)は、2024年3月31日をもって終了いたしました。

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2019年4月15日(火)の部門A研究会 議事録

2019年4月15日(火)

於:京都大学法経済学部東館 地下1Fみずほホール

部門A研究会 2019年4月15日(木)17時~20時、第2期再生可能エネルギー経済学講座部門A第1回研究会が、京都大学にて開催されました。今回の研究会では、第1部で京都大学の安田先生その他2名に発表をしていただきました。

「欧州の系統運用・計画、市場設計の最新動向」 安田陽先生
 自由化後の欧州では、需給調整の役割がこれまでの電力会社の中央給電指令所から、BRPによるインバランスコストを最小化するための前日・当日市場取引に変わっている。これがまだ根本的に日本に欠けている。彼らは仲介業者のようなものだ。日本語の文献では八田先生が詳しく紹介している。前日にならないとどの電源が動くのかわからないのは、中央給電指令所的には怖いことだ。

 ジャーマンパラドックスとは、再エネの導入が進んでも、調整力は少なくて済む現象だ。その原因は短時間商品の導入、市場閉場時間の短縮化、そしてBRP運用の厳格化・監視の強化が考えられる。ドイツではFIT電源の直接市場販売が進んでいるが、日本ではまだ比率が小さい。自分で取引相手を探すのは難しいので、アグリゲーターと契約するのが現実的だ。全量自家消費はコストが高く、採算が取れるのかは不明だ。ドイツでは需給調整市場で取引された量は年々増えている。TSOの調達する予備力(実際に稼働するかに関わらずあらかじめ確保する容量)は減少。応動予備力も減少。欧州では国を超えたTSO同士の協調も進んでいる。背景にはプロトコルの統一がある。日本のTSO同士もできるはずだ。

 系統運用に関する最新動向について:Dynamic Line Ratingについて述べる。日本では設備容量(熱容量)の半分が運用容量という考えだ。実際は場所によっては70~80%使っているところもある。欧州では、動的線路定格(DLR)の導入・実用化がされている。熱容量以上の電流を流すと、送電線は垂れるので、弛度計算をする。日本では静的に決まるが、欧州ではセンサと通信装置でリアルタイムの弛度を計測している。風速や雰囲気温度によって電流容量が変動するので、風速によっては2倍近く流せる。

 合理的な系統柔軟性の選択が重要だ。ディスパッチ可能な電源、エネルギー貯蔵、連系線、デマンドサイドなど今ある資源を全て比較してどれを使うか考えるべきだ。日本は蓄電池が好きすぎる。南オーストラリアでは風力がかなり入っており、北海道より系統が厳しいところだから蓄電池が価値がある。さらに蓄電池は2ヶ月あればすぐ設置できる。日本はまだ風力は0.3%しかない。今あるカードを使うべきだ。

190415京大再エネ講座研究会部門A(安田)
190415京大再エネ講座研究会部門A(安田)

190415京大再エネ講座研究会部門A(杉本)
190415京大再エネ講座研究会部門A(杉本)