Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

本講座(第2期)は、2024年3月31日をもって終了いたしました。

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2019年9月30日(月)の部門C研究会 議事録

2019年9月30日(月)
於:京都大学法経済学部東館 地下1Fみずほホール

 2019年9月30日(月)17時~20時、再生可能エネルギー経済学講座部門C研究会が、京都大学にて開催されました。今回は、Cambridge Econometricsの理事のHector Pollitt様、名城大学経済学研究科の李先生よりご報告いただきました。

The role of renewables in meeting the EU’s long-term decarbonisation strategy

Hector Pollitt様

 本報告は、現在欧州連合に提唱されている環境政策と目標を説明した上で、再生可能エネルギー政策が欧州連合の中長期排出量削減目標にとって役割を果たすかどうかを議論することを目的とした。京都議定書が合意された後、欧州連合は3つの環境目標を設定した。まずは1990年と比較して2020年までに、温室効果ガスの排出量は20%削減され、再生エネルギーの割合は20%を占め、エネルギー効率が20%向上されるのは20/20/20目標をと呼ばれる。その後、2030年に向ける40/32/32.5目標と2050年に向ける温室効果ガス排出量を80-85%削減する目標も導入された。欧州連合は、排出量取引制度などのポリシーを通じて目標要件を徐々に達成する。同時に、再生可能エネルギー政策も欧州連合にとって重要だと指摘された。ドイツとイギリスのケースから見れば、安価な太陽エネルギーと洋上風力エネルギーは、欧州連合の中長期排出量削減目標に対する再生エネルギー政策の重要性も示すことはわかった。

pdf発表資料(935.12KB)

日本の原発政策と原子力安全規制制度
:原子力リスクから安全な社会に向けて

李 秀澈 先生

 本報告は、原発に関する「新規制基準」を検証して、原子力リスクから安全な社会に向けた今後の原子力安全規制制度の望ましい姿と原発政策の方向性を提案することを目的とした。福島原子力発電所事故から数年後、現在日本の原子力委員会は、世界で最も厳しい水準に基づいて「新規制基準」を制定し、原子力発電所を再稼働させようとしたが、依然として地域住民の不安の声が高い。新規制基準が事故前の原発安全規制に比べ、たくさんの対策を新設したが、まだ「本質的なリスクが解決できない」、「従来の立地指針の適用排除」などの問題が残した。原発の安全確保と商業発電は両立の難しいことだ。原子力発電所を再稼働させる前に、原発の公共性を徹底的に検証しなければならない。世界的な原発規制強化傾向による原発建設費用上昇の中で、これから日本のエネルギー計画は、再生可能エネルギーを中心とした安全が保障できる持続可能な低炭素社会に向けた電源計画の樹立が望ましいと指摘された。

pdf発表資料(2.85MB)