学部ゼミ (2~4回生演習)



共通テーマ:ローカルからグローバルまで、農と食をとりまく諸問題に敏感になろう


2013年度予定

前期テーマ:食と農をめぐる論点:砂糖から考える

(授業時間) 金曜日4~5限
(対象回生) 2~4回生
(授業計画) この演習の年度を跨いだ共通テーマは「ローカルからグローバルまで、食と農をとりまく諸問題に敏感になる」である。本年度前期は「砂糖」を切り口に今日の農業・食料問題をグローバルに概観しながら、適宜、地域の農業・農村の現場に立ち戻り、消費者としての、そして大学で経済学・社会科学を学ぶ者としての立ち位置を一緒に考えたい。 本演習は次のようなメニューから構成される。 (1) 各回の担当者が『日本農業新聞』一週間分の記事を紹介し、最新の情勢を把握する。適宜、『日本経済新聞』等のメインストリーム記事と対比させ、食と農をめぐってマスメディアが果たしている役割について検証する。 (2) イントロダクションとして、祖田修・杉村和彦[編]『食と農を学ぶ人のために』(世界思想社、2010年)を4回程度で輪読する。 (3) 特定の品目を切り口に食と農をめぐる問題を考える分析視角に、商品連鎖分析(commodity system analysis又はcommodity/value chain analysis)がある。それが国境を跨いで展開している場合はこれにグローバルという形容詞がつく。本演習で取り上げる素材は、単に砂糖商品の川上から川下までの市場の連鎖を追いかけるのではなく、可能な限りのあらゆる近接専門領域から学際的にアプローチするものにこだわりたい。具体的には、英国Food Ethics Councilの季刊誌『Food Ethics』2009年夏号の特集「Sugar: A bitter pill?」を取り上げ、そこで提示されている論点について参加者でディスカッションする。さらに参加者自らが文献検索、新聞雑誌記事検索、ネット検索等を駆使して関連情報を収集し、砂糖にまつわるキーワード・データベース(できればHP上で公開)を構築する作業にも取り組みたい。 (4) 最後に、これらの作業と並行して、時折、農業・農村の現場を訪問し、食と農をめぐる問題のアクチュアリティを確認する。具体的には、左京区大原地区と右京区京北地区を考えている。この部分は、大学院東アジアコース科目「Field Research in Japan B」と合同で実施する。留学生の目から見た「日本の農業・農村」理解に接することで、日本人学生にも新たな発見がもたらされることを期待している。

後期テーマ:食と農をめぐる論点:子どもの食から考える

(授業時間) 金曜日4~5限
(対象回生) 2~4回生
(授業計画) この演習の年度を跨いだ共通テーマは「ローカルからグローバルまで、食と農をとりまく諸問題に敏感になる」である。本年度後期は「子どもと食」を切り口に今日の農業・食料問題をグローバルに概観しながら、適宜、地域の農業・農村の現場に立ち戻り、消費者としての、そして大学で経済学・社会科学を学ぶ者としての立ち位置を一緒に考えたい。本演習は次のようなメニューから構成される。 (1) 各回の担当者が『日本農業新聞』一週間分の記事を紹介し、最新の情勢を把握する。適宜、『日本経済新聞』等のメインストリーム記事と対比させ、食と農をめぐってマスメディアが果たしている役割について検証する。 (2) 現代農業食料システムの歪み、農業食料ガバナンスの失敗のツケは、一方で開発途上国の貧困層が、他方で先進国でも子どもたちが真っ先に払わされることになる。日本では学校給食と地域農業とを結んだ食農教育が取り組まれるようになって久しいが、米国同様に食が破壊され、子どもたちの肥満や健康被害が深刻視されてきた英国でも様々な取り組みが広がっている。英国Food Ethics Councilの季刊誌『Food Ethics』2010年秋号の特集「Growing Pains: Children and Food」を取り上げ、そこで提示されている論点について参加者でディスカッションする。さらに参加者自らが文献検索、新聞雑誌記事検索、ネット検索等を駆使して関連情報を収集し、「子どもと食」にまつわるキーワード・データベース(できればHP上で公開)を構築する作業にも取り組みたい。 (3) これらの作業と並行して、時折、農業・農村の現場を訪問し、食と農をめぐる問題のアクチュアリティを確認する。具体的には、奈良市精華地区を考えている。この部分は、大学院東アジアコース科目「Field Research in Japan A」と合同で実施する。留学生の目から見た「日本の農業・農村」理解に接することで、日本人学生にも新たな発見がもたらされることを期待している。なお、先方の都合により、前期と後期で場所が入れ替わる可能性もある。


2012年度予定

前期テーマ:世界の農業・食料問題を英語で学ぶ

(授業計画) サバティカルで不在にするため、TA院生と外国人共同研究者に指導を依頼する予定。農業・食料問題や途上国開発問題などに関する海外ドキュメンタリー映画や英ガーディアン紙のアップデートな英文記事を用いて、生きた英語の表現方法、簡潔なロジック/レトリックの展開方法を学びながら、背景にある諸問題について参加者で議論を深める。

後期テーマ:フェアトレードの可能性をあらためて考える

(授業計画) 近年、日本でも「フェアトレード」の認知度が高まってきた。欧米諸国と比べると市場規模はまだ小さいものの、消費者の関心は安全性や栄養面から食料の倫理的調達へ、すなわち農業・食料の生産・流通・加工・消費の過程における環境負荷の問題、生産者や労働者が置かれている社会経済的諸条件、さらに不公正な農産物貿易と途上国農村開発のあり方にも及んできたのだと思われる。 一人の市民・消費者として、フェアトレード(あるいは地域農業・国内農業を支えるための生消提携や都市農村協働の取り組み)に賛同し、フェアトレード商品の購入やボランティア活動を通じて途上国農村の貧困削減と持続的農業発展に貢献していくことの重要性は言うまでもない。 しかし、フェアトレードの世界的な広がりは、慈善活動や開発援助、連帯運動といった次元ではとらえきれないインパクトをさまざまな方面に及ぼしつつある。そのインパクトは必ずしも、本来の狙いである途上国農業農村へのプラスの社会経済的波及効果を伴っている保証はない。非営利的なミッションと営利的なビジネスとのバランスも問題となっている。最近では、そもそもフェアトレード運動が批判の対象に据え、フェアトレードの対極にあると思われてきた多国籍アグリビジネスが次々とフェアトレード・ビジネスに乗り出している。 そこで本演習では、フェアトレードの歴史と制度、到達点を政治経済学や農業社会学の見地から批判的に検証し、その背景にあるグローバル農業・食料システムの現状と問題点への理解を深めながら、フェアトレードをはじめとするオルタナティブな農業・食料システムの構築を通じて途上国農村の貧困削減と持続的農業発展を実現するための課題を考えたい。参加者は、輪読するテキスト以外に、品目や地域ごとに分担して、フェアトレードの事例研究(主として英語論文)のサーベイと紹介をしてもらう。


2011年度

前期テーマ:地方伝統野菜のブランド化と遺伝資源管理

(講義内容)
 京都に京野菜があるように、全国各地で細々と保全/利用されてきた地方伝統野菜があらためて注目を集めている。第1に、輸入の増加と国内農業の弱体化に直面する中で、地域固有の伝統野菜品種を用いた地域農業活性化が各地で追求されている。第2に、生産・流通の周年化・グローバル化と品種の画一化によって失われてきた農と食の個性(地域性や物語性)に対する消費者のニーズが高まっている。第3に、それを生物多様性と遺伝資源管理という観点から評価しようとする国際的な流れもある。本演習では、農業・食料・遺伝資源を取り巻く政治経済的動向にも目を配りながら、地方伝統野菜の地域ブランド化(農産物マーケティング)と遺伝資源管理(保全と利用)をめぐる社会的諸関係を、文献調査とフィールド調査に取り組みながら明らかにしていきたい。  調査対象としては、2008年度ゼミ報告書で取り上げた京都府・京都市のフォローアップのほか、大阪府(なにわ伝統野菜)、奈良県(大和伝統野菜)、兵庫県、滋賀県、和歌山県の関西2府4県を中心にとりあげる。さらに金沢市(加賀野菜)、長野県(信州伝統野菜)、愛知県(愛知伝統野菜)、東京都(江戸東京野菜)などから1事例を選び、合宿形式で調査を行いたい。そして、調査の成果をゼミ報告書にまとめ、年度内の刊行をめざす予定である。
 また、こうした学習/調査活動と並行して、農業・食料・遺伝資源をめぐるグローバルな動向への問題意識を醸成し、ディスカッション能力を高めるため、当該問題を扱った国内外のドキュメンタリー映画を積極的に活用したい。

(テキスト)
  • 久野ゼミ1+2期生『京の伝統野菜の生産・流通・消費」』(久野ゼミ2008年度『農業生産者に思いを馳せる倫理的消費:ローカルからグローバルまで』2009年3月)
  • 西川芳昭/根本和洋『奪われる種子、守られる種子』創成社、2010年
  • なにわ特産物食文化研究会編『なにわ大阪の伝統野菜』農文協、2002年
  • 奈良県農林部マーケティング課『平成21年度 大和伝統野菜調査報告書』2009年
  • フィールド調査(2011.7.2)清澄の里「粟」(NPO法人清澄の村、株式会社粟、五ヶ谷営農協議会)

後期の内容:都市と農村の関係を考える
  • 橋本卓爾ほか『都市と農村:交流から協働へ』日本経済評論社、2011年
  • ゼミ合宿(2011.10.8-9)JA紀の里「めっけもん広場」「農産物流通センター」(和歌山県紀の川市)、秋津野ガルテン(和歌山県田辺市)



2010年度

テーマ:総合商社の食料戦略と日本農業

(講義内容)
 近年、「日本農業の競争力強化」や「耕作放棄地の有効利用」を名目とする農地法改正等の各種規制緩和措置に乗じて、食品産業、外食産業、建設業などからの農業参入が相次いでいる。しかし、すでに40年前に、輸入飼料の供給と畜産物の取引・加工という「川上」と「川下」から農業への「垂直的統合(vertical integration)」を進めていた総合商社の存在を忘れるわけにはいかない。三菱商事、伊藤忠商事、丸紅、三井物産、住友商事、双日、豊田通商といった大手総合商社は、それぞれのグループ企業を足がかりに、さらに最近は農業生産者や卸売会社を囲い込みながら、農業食料関連事業(アグリビジネス)の拡大を図っている。総合商社はまた、国内のみならず、海外でも関連事業の買収や農地の囲い込みを進めており、2007/08年の穀物価格変動(世界食料危機)を契機に中長期的な食糧需給逼迫が懸念されるなかで、きわめてアグレッシブな事業展開を見せている。
 2010年度のゼミでは、こうした総合商社の食料戦略を概観しながら、それを国内農業・農村経済の持続的発展と安全・安心な食料調達という観点から眺めたときに、どのような可能性と問題性を孕んでいるかを検討していきたい。

(テキスト)
  • 『農業と経済』2010.4臨増「食は誰のものか? 錯綜する世界のフードポリティクス」第1部
  • 川島博之監修『日本の食料戦略と商社』東洋経済新報社、2009年
  • 島田克美ほか『食と商社』日本経済評論社、2006年

後期の内容:海外ドキュメンタリー映画を素材に、農業/食料/開発問題を考える
  • 高橋信正/奥村英一編『おもろいで!関西農業』昭和堂、2004年
  • ドキュメンタリー映画『ブルー・ゴールド: 狙われた水の真実 (Blue Gold: World Water Wars)』2008年
  • ドキュメンタリー映画『おいしいコーヒーの真実 (Black Gold: Wake Up and Smell the Coffee)』2006年
  • ドキュメンタリー映画『ジャマイカ: 楽園の真実 (Life and Debt)』2001年
  • ドキュメンタリー映画『未来の食卓 (Nos Enfants Nous Accuseront)』2008年


2009年度

テーマ: グローバリゼーションと食料危機

(講義内容)
 2007~08年、世界は穀物・油糧作物の記録的な価格高騰に見舞われた。国際社会が2015年までに半減を約束した世界の飢餓人口はむしろ増大している。食料を輸入に依存する発展途上国を中心に各地で暴動も起きている。現代社会において、南北間格差、飢餓と飽食の併存はなかば常態化しているが、今日では相対的格差どころか絶対的貧困が拡大再生産されている。国際社会がこの問題に「真剣に」取り組む姿勢を見せた1996年世界食料サミットの開催から12年、世界はグローバリゼーションと新自由主義の急速な展開を経験してきた。経済学の教科書が教えるところによれば、それらは世界に「豊かさ」をもたらすはずのものであったが、理論と現実の乖離はあまりに大きすぎる。 世界が直面する食料価格高騰と「食料危機」の背景には世界と各国・各地域の政治的・経済的・社会的・文化的な諸要因が複雑に折り重なっており、食料資源をめぐる需給バランスの問題に矮小化することは許されない。経済学部の学生には、途上国開発問題に関心をもつ者も少なくないと思うが、これらをたんに経済学の応用問題として扱うのではなく、まずは「現実」から出発すること、そして「どうするか」の前に「なぜそうなっているか」を根本から問うていくことが必要であり、そのためにも政治経済学の素養、社会学(経済社会学、農村社会学、開発社会学)や政治学(国際政治学、国際関係論)などの関連諸分野への理解と関心を高めていくことが不可欠である。本演習では、これらの問題を文献輪読によって学習していく。また、食料自給率が4割にとどまるわが国の農業・食料をとりまく現実を知る(現実感覚を養う)ために、国内フィールド調査にも取り組んでいきたい。

(テキスト)
  • 松本仁一『アフリカ・レポートー壊れる国、生きる人々』岩波新書、2008年
  • ロバート・ゲスト『アフリカー苦悩する大陸』東洋経済新報社、2008年(Robert Guest, The Shackled Continent: Africa's Past, Present and Future, Macmillan Publishers, 2004)
  • 松下洌『途上国の試練と挑戦ー新自由主義を超えて』ミネルヴァ書房、2007年
  • 世界銀行『世界開発報告2008―開発のための農業』一灯舎、2008年(World Bank, World Development Report 2008: Agriculture for Development, World Bank, 2007)
  • マイケル・ゴールドマン『緑の帝国ー世界銀行とグリーン・ネオリベラリズム』京大出版、2008年(Michael Goldman, Imperial Nature: The World Bank and Struggles of Social Justice in the Age of Globalization, Yale University Press, 2005)

2008年度報告書『農業生産者に思いを馳せる倫理的消費-ローカルからグローバルまで-』発行! (PDF 2.3MB)
 第1部 生産者と消費者を架橋するしくみ:フェアトレードの現状と課題
 第2部 京の伝統野菜の生産・流通・消費
※ 現物が必要な方は、返信用切手を貼付し、送付先の住所と氏名を記入した封筒(角2)を研究室宛に送付するか、直接研究室に来て受け取って下さい。


2008年度

テーマ: 倫理的な食料調達?―フェアトレードの意義と課題を考える―

(講義内容)
 1990年代以降、食品安全性への信頼を揺るがす数々の事件はもとより、食料調達に関わる自然環境への負荷や劣悪な労働条件(とくに途上国農村の貧困問題)の実態が世界的に広く知られるようになり、食品に対する消費者の関心は、栄養・安全性等の「品質」から環境的・社会的な「品質」へと広がってきている。さらに最近は、地域特産品のマーケティング戦略も活発になっている(※2007年度は「京の伝統野菜」を事例に地域農産物マーケティングの実態調査を行った)。有機農産物やフェアトレード商品、地域特産品のように、そうした「品質」は当初、生産者(組織)や消費者(組織)など当事者間による合意と提携によって処理されてきたものであり、工業化とグローバル化という現代資本主義に特徴的な農業・食料システムの再編圧力に対するオルタナティブとして追求されてきたものである。ところが、一方で、社会的な需要の高まりと生産対応の前進によって市場が拡大した結果、その「品質」を制度的、第三者的に保証する必要から、各種の規格・認証・表示制度が導入、整備されてきた。他方で、農業・食品関連市場における寡占的競争下で商品差別化を模索し、同時に「企業の社会的責任(CSR)」への対応を迫られている農業・食品企業の事業戦略に次第に包摂されるようになっており、企業ごとのプライベート・ブランドや業界横断的な品質規格が次々に導入されている。その結果、品質規格に関する多種多様な認証・表示制度が乱立する状況となっている。2008年度は、コーヒーやバナナ等のフェアトレードに焦点をあてながら、社会的品質基準の意義と課題について考えていきたい。
 なお、本演習では政治経済学の素養、社会学(経済社会学、農村社会学、科学技術社会論)や政治学(国際政治学、国際関係論)などの関連諸分野への関心を高めていくことも意識している。必要に応じて、英語文献も使用しながら、当該分野に必要な英語力の醸成も図りたい。

(テキスト)
  • M.リトヴィーノフ、J.メイドリー(市橋秀夫訳)『フェアトレードで買う50の理由』青土社、2007年
  • 季刊at [あっと] 11号「コーヒー産業の現在: 激しい価格変動の中で儲けているのは誰か?」2008年
  • 季刊at [あっと] 9号「変転の中のバナナと日本人: 歴史認識・フードシステム・対抗運動」2007年
  • 季刊at [あっと] 8号「フェアトレードの現在: オルタナティブな南北貿易の回路をもとめて」2007年
  • 中村洋子『フィリピンバナナのその後: 多国籍企業の操業現場と多国籍企業の規制』七つ森書館、2005年
  • キャロル・オフ『チョコレートの真実』英治出版、2007年(Carol Off, Bitter Chocolate: Investigatingthe Dark Side of the World’s Most Seductive Sweet, 2006)
  • アントニー・ワイルド『コーヒーの真実』白揚社、2007年(Antony Wild, Coffee: A Dark History, 2004)
  • Laura T. Raynolds et al., Fair Trade: The Challenges of Transforming Globalization, Routledge, 2007
  • Stephanie Barrientos & Catherine Dolan eds., Ethical Sourcing in theGlobal Food System, Earthscan, 2006
  • Gordon Myers, Banana Wars: the Price of Free Trade, Zed Books, 2004

2007年度

2007年度は下記シラバス記載のテキスト(オックスファム・インターナショナル『貧富・公正貿易・NGO』新評論、2006年)の他に、ゼミ論文の作成に向けた課題研究として「京伝統野菜の生産~流通~消費の流れ」を調査してきました。

基本テーマ: 飢餓と飽食の政治経済学:農産物貿易とアグリビジネス

(講義内容)
 現代の農業・食料を特徴づける問題群の一つに、一向に解決されない「飢餓」と「飽食」の併存があげられる。私たちが日々消費する食料は、どこで/誰によって/どのように生産され、流通・加工され、販売されるのか。大きな社会問題ともなっている食料の安全性。誰が/どのような基準で/どのようにして安全性を評価しているのか。下記の文献の輪読を通じて、こうした問題を考えていきたい。なお、課外授業として、農と食を生産者と消費者の手に取り戻そうとする多様な取り組みの一つである、「大豆畑トラスト運動」(もしくは他の産直運動)に実際に参加し、生産者や他の消費者との交流を図ってみたい。
 本講義では、政治経済学(社会経済学)の素養、社会学や政治学、国際関係論などの関連諸分野への関心を高めていくことも意識している。必要に応じて、英語文献も使用しながら、当該分野に必要な英語力の養成も図りたい。

(テキスト)      
  • オックスファム・インターナショナル『貧富・公正貿易・NGO』新評論、2006年

(2006年度に使用したテキスト)         
  • 大塚茂『アジアをめざす飽食ニッポン: 食料輸入大国の舞台裏』家の光協会、2005年
  • John Madeley, Food for All: The Need for a New Agriculture, Zed Books, 2002


<経済学部同好会ゼミ紹介用原稿 2007年度版>


【活動内容】
テーマ:飢餓と飽食の政治経済学
ねらい:まずは農と食に関心を持ってもらいます。そのために、自分たちが日常、何気なく食べている食料をめぐって「何が問題となっているか」について勉強します。
テキスト:省略(上記参照)
運営形態:テキストの輪読(担当箇所の概要説明と論点提起のプレゼン)を中心に考えています。後述のゼミ論(卒論)に取り組むようになれば、適宜、個人研究発表を盛り込みます。また、毎回ゼミの冒頭に、その週で関心を持ったニュース(経済事象、国際問題、社会問題など)について、各自に3分間スピーチを課します。社会の動向に敏感になること、見聞したことを自分の表現で再現すること、自分の意見を的確にまとめ伝えることなど、社会に出るにも研究者になるにも不可欠な(最低限の)能力を培うことが目的です。

【時間帯】
金曜日 4・5限(但し、時間帯については参加者の履修状況等にも配慮しながら柔軟に対応します)

【ゼミ情報】<コンパ/合宿/ゼミ論(卒論)>
①常識的な範囲内でコンパを開催する予定。お酒を飲まない人でも楽しめる場、に心掛けます。
②合宿形式になるかどうかは未定ですが、農村調査を兼ねて、産直など生消提携に取り組んでいる農家の方や消費者と交流する場を持ちたいと考えています。
③いずれゼミ論(卒論)にも取り組むつもりですが、全員で調査報告書のようなものをまとめるか、個人の論文にするかは未定です。

【構成人数】
新規募集につき在籍ゼミ生はいません。久野ゼミ1期生(新3回生)、2期生(新2回生)になりたい人は集まれ! なお、チューターの大学院生(数名)が何らかの形で参加する予定です。

【その他PRなど】
経済的諸関係が現代社会の「土台」にあることは疑いありませんが、それは経済活動の影響が経済的諸関係にとどまることをも、経済活動への影響因子が経済的諸関係にとどまることをも意味しません。現実をリアルに把握するためなら、社会学や政治学、哲学・倫理学、自然諸科学などの関連領域にも関心を向けていきたいと考えています。なお、学部学生を連れて行くことは難しいですが、頑張って大学院まで進学すれば、海外調査のチャンスが待っています。

【教官から一言】
「勉強」というよりは「学び」を追求したい。その一要素でもある「遊び」をゼミでは重視しませんが、新しいゼミですので、みんなで楽しく、今後の発展の基礎を築きたいと思います。



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