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京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

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ドイツにおける発送電分離が再生可能エネルギーの導入に与えた影響
- 送電会社の所有分離のインパクト -

2019年7月16日
京都大学大学院経済学研究科 博士後期課程 杉本康太

 日本では、2020年までに従来垂直統合であった電力会社の送配電部門を別会社させる法的分離の実施が予定されている。一方でヨーロッパの多くでは、送電会社を第三者に売却する所有分離が行われた。法的分離では、垂直統合事業者に自らの保有する送電会社の送電線を用いて自社の発電会社を優遇し、他社の発電事業を差別的に取り扱うインセンティブを残すため、新規に参入する発電事業者は系統接続および系統運用面で差別を受け、結果的に再エネ導入が阻害される可能性がある。

 本研究では、発送電分離の程度が異なる東西の送電会社(TenneT社とAmprion社とTransnet BW社の運用エリア)が系統運用を行うドイツの9つの州を分析対象に、傾向スコアマッチングおよびマハラノビス距離によるマッチングと差の差の分析を組み合わせることで、所有分離の実施による再生可能エネルギー導入への影響評価を行った。分析の結果、ドイツにおいて所有分離の実施は、太陽光発電に関しては、法的分離を強化した送電会社(Amprion社とTransnet BW社)が運用するエリアでの導入容量と統計的に有意な差がないことがわかった。しかし所有分離は、バイオマス発電の導入を減少させ、実施から5年前後に陸上風力発電を増加させていることがわかった。

キーワード:発送電分離、所有分離、再生可能エネルギー、傾向スコアマッチング、差の差の分析