Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

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No.14 PPA(Power Purchase Agreement)による再エネ電源開発
- コーポレートPPAを中心に -

2020年5月19日
京都大学大学院経済学研究科 特定講師 中山 琢夫

 今日、再生可能エネルギー(再エネ)発電にかかる新設の導入費用は大きく低下している。この現象は、世界のエネルギーシステムに大きな影響を与えている。再エネは、世界の多くの地域で最も安い発電源となりつつあり、その投資額は従来型エネルギーを上回ろうとしている。一方で、パリ協定や関連の取り組みにより、再エネへの投資拡大が不可欠のものとなっている。とりわけ、世界の電力の最終需要の大部分を占める企業部門もまた、再エネ調達は、気候変動目標達成にとって重要な役割が期待されており、近年では、受動的にエネルギー調達するだけでなく、能動的に再エネを調達する動きが盛んになってきた。最近のその代表的な動きは、企業による電力購入契約(Corporate Power Purchase Agreement: コーポレートPPA)である。

 本稿では、企業による再エネ調達手法を4つに分類したのち、そのうちの一つであるPPAに注目する。さらにPPAを、仮想的(金融的)PPAと物理的PPAの二つのモデルに分類した後、その取引方法を整理する。また、世界のコーポレートPPAの動向を概観したのち、ヨーロッパにおける風力発電PPA、アメリカにおける太陽光発電PPAをより詳しく検討する。近年著しい成長を見せている仮想的(金融的)PPAは、買い手企業が多額の資金を出資することなく、追加的な再エネ発電所への投資が可能であるというベネフィットがある反面、さまざまなリスクに対するチャレンジも必要になる。本稿ではこうしたリスクも明らかにする。

キーワード:再生可能エネルギー、企業調達、電力購入契約(PPA)、仮想的(金融的)PPA、物理的(袖付)PPA