Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

本講座(第2期)は、2024年3月31日をもって終了いたしました。

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2020年3月30日(月)の部門C研究会 議事録

2020年3月30日(月)
於:京都大学法経済学部東館 地下1Fみずほホール

 2020年03月30日(月)17時〜20時、再生可能エネルギー経済学講座部門C研究会が、京都大学にて開催されました。今回は、長崎大学環境科学部の昔宣希先生、名城大学の李秀澈先生よりご報告いただきました。

Firms’ Carbon Initiatives and Their Impact on Green Employment under Climate Change Policy in Japan and Korea
- Korean Emission Trading Scheme and Companies Response -

昔 宣希 先生

 本報告は、実証研究により気候変動政策が2030年(2050年)まで日本もしくは韓国企業のグリーンビジネス及び雇用に及ぶ影響を分析し、気候変動政策の中長期における経済及び企業の取り組みへの政策効果を把握し、該当政策の運営に資する政策提言を行うことを目的とした。まずはパリ協定と持続可能な開発目標(SDGs)の目標を達成するために、ビジネス部門は、グリーンイノベーションを通じて環境と経済の面で重要な役割を果たすという背景を説明した。そして、日本と韓国の気候変動対応基本計画を言及し、企業の脱炭素経営の詳しい取り組みを紹介した。または温室効果ガスの排出量、排出削減目標、政策計画と政策設計、運営結果、企業の取り組みから韓国の気候変動・カーブンプラシング政策を説明した。その中に、企業のカーボンプラシングに対する対応を妨げる障害点、改善すべきまたは望ましい政策支援策の説明を特に強調した。最後に、今後の研究計画と期待される研究結果を説明して終わりとした。

pdf発表資料(4.8MB)

石炭火力・原発のフェーズアウトは日本の経済と環境にどのような影響をもたらすのか
− E3MEマクロ計量経済モデルを用いた分析 −

李 秀澈 先生

 本報告は、2050年までに日本の石炭火力発電と原発がフェーズアウトになると、経済と二酸化炭素排出に与える影響について定量的に推定することが目的であった。まずは世界の脱石炭火力発電と原発の状況を説明した。主要国を中心として様々な国が積極的に脱石炭火力発電と脱原発を参加することがわかった。そして、E3ME-FTTモデルの概要と特徴及びメカニズムについて紹介し、E3MEとFTTとのお互いに影響できることが指摘された。次に、E3MEモデルを用いて、石炭火力のみフェーズアウト、原発のみフェーズアウト、石炭火力と原発の同時フェーズアウトの3つのシナリオを設定し、それぞれのシナリオがGDP、雇用、貿易などマクロ経済への影響を二酸化炭素排出の影響を推定した。結果は日本エネルギー経済研究所(IEEJ)の2017年版のエネルギー展望のレファレンスケースと比較して、3つのシナリオのいずれでも経済に悪い影響は殆ど与えないことが確認されて、いずれが日本の2050年の温室効果ガス削減目標へ大きく及ばないことも示された。80%削減という温室効果ガス削減目標達成のために、民生、産業など他部門へ主要エネルギーを供給する発電部門の脱炭素は欠かせないと指摘された。最後に発電部門の脱炭素化シナリオについては、これからの課題として強調した。

pdf発表資料(7.57MB)