Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

本講座(第2期)は、2024年3月31日をもって終了いたしました。

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2019年12月23日(月)の部門C研究会 議事録

2019年12月23日(月)
於:京都大学法経済学部東館 地下1Fみずほホール

 2019年12月23日(月)17時〜20時、再生可能エネルギー経済学講座部門C研究会が、京都大学にて開催されました。今回は、京都大学白眉センターと地球環境学堂のSven Rudolph先生、中国人民大学環境学部のJun Pang先生よりご報告いただきました。

The California Cap-and-Trade Program as a Model for Domestic Carbon Markets and Linking?

Sven Rudolph 先生

 本報告は、カリフォルニアの排出量取引制度の現状を分析し、制度が世界各地の炭素取引市場及び区域間リンクを確立するモデルの適用可能性を議論することを目的とした。まずは世界が温室効果ガスの増加と地球温暖化の問題に直面していることと、温室効果ガスを削減するためのパリ協定の成果に関して説明した。そして、市場に基づいた排出量取引制度は「コストの最小化」、「持続可能の追求」、「制度の空間的拡張」、「カバレッジの拡大可能性」、「地域レベルでの適用可能性」及び「地域間におけるリンケージ」などのメリットがあることを示した上で、この制度の望ましさを主張した。ただし、政治的利害関係者の中で強い影響力を持つグループは、排出量取引制度に対して否定的な態度をとることが明らかになった。これに対して、西部気候イニシアチブ(WCI)排出量取引制度に属するカリフォルニアの制度は、地域温室効果ガスイニシアチブ(RGGI)、欧州連合(EU)排出量取引制度、東京都(TMG)排出量取引制度、ニュージーランド(NZ)排出量取引制度と比べると、実施する環境におけるsustainable design指標は総じて優位であるという結論であった。最後に、カリフォルニア排出量取引制度をサポートする政治的勢力を呼びかけて終わりとした。

pdf発表資料(1.05MB)

National Emission Trading in China: How would Economic Impacts Disperse Across Provinces and Sectors?

Jun Pang先生

 本報告は、中国排出量取引制度(China national ETS)が経済全体への影響、特に異なる省及び経済部門間の分配効果に焦点を当たることが目的であった。経済システム全体を模倣するために、多地域のエネルギー環境経済CGEモデル(CMRE3-CGE)が使用されたと指摘した。そして、分析する枠組みとモデルを示した。分析した結果について、(1)NDC(China’s Nationally Determined Contribution)目標を達成するには、中国は基準年から2030年までの炭素排出量を13%削減する必要がある。これにより、排出量配分の基準に従って、GDPの0.3%から0.5%が削減される必要がある。(2)各省GDPへの影響は、経済構造とエネルギー供給システムによって大きく異なる。(3)一部の省では、ETSはすべての手当配分のスキームの下で経済的効果を高める機会を提供する。これに対して、炭鉱セクター及び石炭集約的製造セクター(電気、非金属鉱物、金属)に大きく依存している省は比較的に高い経済的損失に直面する。(4)ETSはまた、中国の商品やサービスの省間及び国際貿易にも大きく影響する。などの主な点が明らかになった。

pdf発表資料(1.66MB)