Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

本講座(第2期)は、2024年3月31日をもって終了いたしました。

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2020年11月30日(月)の部門B研究会 議事録

2020年11月30日(月)16時から20時
於:Zoom会議室(オンライン)

 上記の通りオンラインで開催された今回の研究会では、エネルギー戦略研究所(株)シニアフェローのの竹内敬二様より特別講演をいただきました。続いて、オムロンソーシアルソリューションズ株式会社の戸松広介様、吉森健人様よりご報告いただきました。以下は、その要約記録です。

2050年温室効果ガス排出ゼロと原発の役割~現実的な原発政策への転換~

竹内敬二様

 本講演は、「温室効果ガスの2050年実質ゼロ」を目指すうえでの新しい原発政策を考察したものであった。チェルノブイリ原発事故で横ばいになった原発新設は、その後の再エネの急激な拡大を受け、新設の再エネ発電所に負けつつある。日本では、東日本大震災の原発事故以降、稼働原発は激減しており、再稼働も不調であり、当面はエネルギー基本計画の目標値の達成もできない。東洋経済の企業アンケートからは、CO2排出係数の低い電力の供給や脱炭素化を目指すエネルギーミックスを求めるようになっており、原発については「とくに意見がない」が多くなっている。そのため、原発新設を前提とした「50年実質ゼロ」計画は失敗するため、他の手段による脱炭素政策の展開が求められる。そこでは、過度な「イノベーション」依存からの脱却が求められており、具体的に原発を減らす議論を進めていく場を設定し、議論を進めていくことが求められている。

pdf発表資料(1.17MB)

地域創生につながる「再エネ地産地消型ビジネスモデルの追求」
~持続可能な地域社会に向けたオムロンの取り組み

戸松広介様、吉森健人様

 本報告は、オムロンフィールドエンジニアリング(OFE)が2015年度から取り組まれている事業のご紹介であった。OFEが属するオムロンの社会システム事業(OSS)グループは、「エネルギー」「交通」「生活サービス」「コミュニティ」の4つを注力事業領域として、コンサルから運用サービスまでソリューションを提供している。今回の事業は、地域に利益を還元できる再生可能エネルギーのビジネスモデルを追求するものであり、「よりよい社会をつくる」という企業理念の実践として位置づけている。2015年度は京都府宮津市・静岡県浜松市・青森県弘前市で連携をし、宮津市では地域課題に対応したエネルギー事業を構想し、SPCの設立と地域の関係者との役割分担を実現している。浜松市ではバイオマス資源調査から材搬出量の限界が明らかになり、再エネ地産地消モデル探求の結果マイクログリッド事業が実施されている。弘前市では、マスタープラン調査を実施し、バイオマスCHPを構想し、その原料調達が課題であることを明らかにした。他にも、長野市・小諸市・舞鶴市・宇城市でも同様にエネルギー事業の構想と実現に取り組んでいる。これらから、「再エネ地産地消ビジネスモデル」の考え方として、インサイダーとしての関与と事業構想、コーディネーターとしての調整と事業化、事業計画の精緻化の3点を提起した。