Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

本講座(第2期)は、2024年3月31日をもって終了いたしました。

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2021年6月28日(月)の部門C研究会 議事録

2021年06月28日(月)
於:Zoomオンライン会議

 2021年06月28日(月)15時30分〜20時、再生可能エネルギー経済学講座部門C研究会が、Zoomオンライン会議にて開催されました。今回は、京都大学の内藤克彦先生、東京R&Dの小野昌朗様、東京大学の田中謙司先生よりご報告いただきました。

電気自動車の動向と電力グリッド

内藤 克彦 先生

 本講演は、現在まで電気自動車の開発歴史と発展動向を紹介するとともに、日本において今後の電気自動車はどのように配電網を有効活用していくかを議論することを目的とした。まずは日本における電気自動車の開発の流れを紹介して、日本がこの分野の研究を長く続けてきたことを示した。しかし、日本において電気自動車に対する歪められたイメージや、価格と需要の矛盾などの原因により、2020年に世界では電気自動車の販売は43%の増加に対し、日本だけ28%の減少となったと指摘された。それに、各国の充電スタンド整備状況から見れば、日本もすでに優位に立つことは無くなった。続いて、電気自動車が世界的に普及していくという今後のトレンドを予測した。最後に、地域内のエネルギーサイクルの共存を実現するために、電気自動車をどのように活用できるかに焦点を当てケーススタディを行った。

pdf資料(5.36MB)

電気自動車の動向、メーカー各社の動き

小野 昌朗 様

 本報告は、世界主要国の自動車産業の現状を概観し、カーボンニュートラル政策を背景とした電気自動車の開発動向や各社の事業内容を解説することを目的とした。まず、世界主要国の自動車の生産台数、販売台数、保有台数などの内容を紹介して、各国の自動車産業の長所と短所を示した。次に、現時点に電気自動車が注目されている背景や理由を解説した。その理由の一つは、主要国のほとんどが、気候変動に対応して再生可能エネルギーの利用を促進し、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を抑制する政策に合意していることである。また、電気自動車の性能が向上したことも理由の一つである。そして、TESLA社を筆頭とするアメリカや中国の各EVベンチャーの研究開発の焦点、製品の特徴分析、技術革新について詳細な説明が行われた。同時に、既存自動車メーカーのEV化方針や関連製品についても言及した。最後に、日本の自動車産業の現状を分析し、内燃機関に関連する製造体制の優位性を大切すべきだが、世界の自動車EV化への潮流を無視してはいけない。今後日本の政界、官界、産業界、アカデミアの連携による活動を期待することで終わりとした。

pdf資料(4.89MB)

脱炭素化へ向けたスマートシティにおけるEV活用の可能性

田中 謙司 先生

 本報告は、分散誘導型協調メカニズムの構築により、電気自動車に始まる脱炭素化の可能性を実現できるかどうかを議論することが目的であった。まず、パリ協定の炭素削減目標を達成するために、現状(規模の大きい電力・鉄鋼が注目を集めがち)の延長上では経済的な負担が大きくなることを示した。脱炭素化と経済成長を両立するには集中型の努力に加えてと分散型(ユーザー側)が協調することも必要だと主張した。次に、分散誘導型協調メカニズムがどのようにデジタル技術を活用して調整を行うかを詳細に説明した。これは主にモニタリング・未来予測・行動誘導に基づくと指摘された。そして、電気自動車の実例で証明して、ユーザー側は自動車エージェントを介して、安価な時間に充電できると証明した。この実験に参加したことで電気自動車ユーザーは、余剰の再生可能エネルギーを吸収して、25%ほどの電気代削減ができることが明らかになった。最後に、今後の研究に言及して、分散誘導型協調メカニズムにより次世代都市の付加価値が高まることが期待された。

pdf資料(5.17MB)