Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

本講座(第2期)は、2024年3月31日をもって終了いたしました。

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2020年6月29日(月)の部門C研究会 議事録

2020年06月29日(月)
於:Zoomオンライン会議

 2020年06月29日(月)16時~20時、再生可能エネルギー経済学講座部門C研究会が、Zoomオンライン会議にて開催されました。今回は、名城大学の李秀澈先生、産業技術総合研究所の歌川学様、京都大学の内藤克彦先生よりご報告いただきました。

東アジアの原子力リスクと原子力安全体制
- EUとの比較考察を中心に -

李 秀澈 先生

 本報告は、原発安全体制における欧州の経験を踏まえて、東アジアの原発リスクと原発安全体制を議論することを目的とした。まずは世界の原発の基本的な分布と数を紹介し、中国の北東海岸地域と韓国古里の原発で原発事故が発生した場合の影響を予測した。そして、TRMを始め、TRM+、FNCA、ANSNなどのアジアにおける原子力安全システムと枠組みを紹介した。またはENSREGとWENRAが率いる欧州の原子力安全関連協議体とその協力メカニズムを紹介し、欧州とアジアにおける原子力安全関連協力体制の進化段階とギャップを示した。最後に、東アジアが実効性のある欧州の原子力安全体制を参考にして、組織間の透明性と信頼性を高めるという形で、既存の原子力安全関連協議体の活動を再構築する必要があると指摘された。

pdf発表資料(1.79MB)

既存優良技術を用いた中期的な省エネの可能性

歌川 学 様

 本報告は、既存優良技術を用いた中期的な省エネの可能性を討論することが目的であった。まずは日本のエネルギーと電力消費量、CO2排出量に関する現状と推移を分析した。そして、「省エネ設備投資」と「我慢」の模式図を例に挙げて、設備更新時の省エネ機器導入、省エネ改修、最適制御、現状の努力などの方法を通じた「省エネ設備投資」が「我慢」よりエネルギー改善の効果がいいと判断された。発電所の省エネ対策を始め、工場の省エネ対策、オフィスと家庭の省エネ対策、運輸部門の省エネ対策などの方面から分析して、省エネできる方法を説明した。そのあとで、日本のエネルギーに大きな省エネの可能性があるという結論を強調した。次に、省エネと再エネとの関係を議論し、お互いにプラスの効果があると指摘された。最後に日本の2050年削減対策を言及し、再エネを利用できるだけでなく、既存優良技術の広範な普及を通じて、燃料エネルギー使用量を大幅に削減することが可能だという点が明らかになった。

pdf発表資料(3.42MB)

2030年~2050年に向けてのエネルギー気候変動問題の展開と産業/技術/基盤システムのイノベーションに関する中長期展望

内藤 克彦 先生

 本報告は、未来に向けてのエネルギー気候変動問題の展開と各分野のイノベーションに関する中長期展望を説明することを目的とした。まずは将来の地球システムの変化、土地の劣化、水資源の劣化など多くの気候変動による問題を言及し、これらは自然の気候変動、食糧不足、そして気候難民の増加につながる可能性があると指摘された。再生可能エネルギー技術、小規模分散電源システム、AIなどのイノベーションを通じて、以上の問題を解決できる可能性があると指摘された。そして、電気自動車(EV・PHV)や浮体式風力発電を例に、各国の開発状況や日本の状況を紹介した。また、高度成長期にイノベーションが盛んだ理由と低迷する現状を分析した。最後に、事実の認識、基盤のシステムの改革、イノベーションのできる人材の活かせるシステムの構築などの重要性を強調した。

pdf発表資料(16.16MB)