Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

本講座(第2期)は、2024年3月31日をもって終了いたしました。

TOP > ディスカッションペーパー > No.20 韓国温室効果ガス排出量取引制度の第1期及び2期の運営動向

No.20 韓国温室効果ガス排出量取引制度の第1期及び2期の運営動向

2020年8月18日
昔宣希 長崎大学大学院水産・環境科学部総合研究科 准教授

本稿では、韓国の気候変動政策の主な柱とされる、排出量取引制度の設計内容及び運営結果についてレビューした。第1期計画期間(2015–2017年)においては、5部門23業種の525事業者を対象にして、3年間で合計16億8千6百万トン(CO2当量)の排出枠が無償割当され、その内、16億6千9百万トンの認証が済み、割当られた量より1,740万トン(約1%)の排出枠の余裕があったことが明らかになった。一方、炭素市場において、該当排出枠の7千5百万トン(割当量の4.4%水準)が取引され、 3年間平均炭素価格は 20,374ウォンである。主な市場参加業種は、発電・エネルギー業種である。政府は、市場価格の安定や場内の排出枠の供給量を増やし取引を促すために、2回の予備分の供給、繰越の制限などの市場安定化措置をとった。市場取引の取引量や件数が年々増加し、企業の対応体制が成熟するなど、国内の関連専門家らにより、制度の定着について肯定的な評価がなされていると思われる。第2計画期間(2018–2020年)は、有償割当(3%)が初めて導入され、割当算定においてベンチマーク(BM)の割当方式が適用される業種が拡大された。また、海外でのCDMプロジェクトを通じた温室効果削減実績のオフセット排出枠が国内市場で取引可能になるなど、市場メカニズムの機能の活性化を通じた温室効果ガスの削減と低炭素投資誘引を図っている。

キーワード:韓国、気候変動政策、温室効果ガス削減目標、排出量取引制度