Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

本講座(第2期)は、2024年3月31日をもって終了いたしました。

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No.37 自治体新電力の現状と発展に向けた検討
~74自治体新電力調査を踏まえて~

2021年11月26日
稲垣憲治*, 小川祐貴, 諸富徹

*京都大学大学院経済学研究科再生可能エネルギー学講座 研究員

 自治体が出資等で関与し、地域の再生可能エネルギーなどを電源として限定された地域を対象に電力販売を行う「自治体新電力」の設立が相次いでいる。本研究においては、地域脱炭素及び地域経済循環の地域の担い手と期待される自治体新電力について74社を対象に調査を行い、設立数推移、参入経緯・目的、自治体の出資手法、人口規模と出資の関係、従業員数、販売電力量、排出係数等の観点から整理した。調査の結果、①自治体の人口規模によって自治体新電力設立の目的が異なる傾向があること、②自治体新電力に対し出資する地域企業数は多いものの少額出資に留まっており経営に関与していないこと、③地域外企業は1社あたりの出資額が大きく経営に関与する意向が強いこと、④1/3超を「単独で」出資する地域企業がいる自治体新電力では業務の内製化が進むこと、⑤自治体新電力の発展(雇用、販売電力量拡大)には地域企業の主体的な経営への参画が重要な要素であることなどが示された。また、自治体新電力の今後の発展に向け、自治体職員による専門性向上や地域ネットワーク構築の重要性を指摘し、そのための人事制度について先行研究を踏まえ検討した。

キーワード:自治体新電力、再生可能エネルギー、地域脱炭素化、地域経済循環、地域の担い手