Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

本講座(第2期)は、2024年3月31日をもって終了いたしました。

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No.43 日本の2030年温室効果ガス削減目標及び電源計画達成を前提とした2050年カーボンニュートラルに向けた経済・産業への影響分析

2022年9月
加藤真也*,李秀澈,何彦旻,吉岡努,諸富徹,Unnada Chewpreecha
*山口大学大学経済学部観光政策学科 准教授

 本研究は、日本が2030年温室効果ガス削減目標達成と、それに合わせた電源計画の実現、成長戦略会議の2050年カーボンニュートラルに向けた電源計画検討案、これらが同時に実現された場合の日本の経済と産業に与える影響について、E3MEマクロ計量経済モデルを用いて推定した。その結果、2050年にはベースラインシナリオと比べてGDPが3%程度上昇すると予測され、再生可能エネルギーの発電シェアが大きくなることで発電コストが下落することを示された。また、2050年における産業生産は多くの業種で、脱炭素関連投資需要と民間消費の堅調さにより、生産の増加が予想されることとなった。これにより、脱炭素政策の施行によるエネルギーコスト上昇という経済への負の影響よりも、経済各部門からの低・脱炭素投資需要の拡大と再生可能エネルギー発電コストの低下、そして化石エネルギー輸入の急減による貿易バランスの改善など正の影響が大きいことが明らかとなった。

キーワード:2050年カーボンニュートラル、E3MEマクロ計量経済モデル、エネルギーミックス、脱炭素技術革新、日本経済影響