Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

本講座(第2期)は、2024年3月31日をもって終了いたしました。

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No.45 再生可能エネルギーと地域再生 ―公営電気事業に注目して―

2023年5月30日
太田 隆之*
*静岡大学地域創造学環・人文社会科学部 教授

人口減少が進展し、特に大都市圏から離れる地域では今後の地域の維持が大きな課題になっている。その 中でポイントとして挙げられているのは再生可能エネルギーであり、これを活用した地域再生や維持の取り 組みをめぐる提案がなされている。本稿では水力発電を中心に発電を行って電力の卸供給を行う県営電気事 業に注目し、これらが取り組んできた活動を検証した。電力の卸供給を行う公営電気事業は上下水道などと 異なり地域の主体にと接点が乏しく、また戦後から今日に至る活動はほとんど注目されたことがなかったが、 森林保全やエネルギー関連の分野での活動に加えて、県行政部局と連携しながら広く地域課題に取り組んで きており、重要な意義があることを明らかにした。そして公営電気事業を核とした日本版シュタットベルケ の可能性についても検討した。現時点では地方公営企業に関する制度的な制約があり公営電気事業がその担 い手になることは難しいものの、地域新電力と連携するなどの取り組みを行うことで、地域新電力を核とし たその実現を支援することができることを議論した。

キーワード:再生可能エネルギー、地域再生、県営電気事業、地域貢献、日本版シュタットベルケ