Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

本講座(第2期)は、2024年3月31日をもって終了いたしました。

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2020年12月21日(月)の部門C研究会 議事録

2020年12月21日(月)
於:Zoomオンライン会議

 2020年12月21日(月)16時〜20時、再生可能エネルギー経済学講座部門C研究会が、Zoomオンライン会議にて開催されました。今回は、京都大学の安田陽先生、京都大学のSven Rudolph先生、追手門学院大学の何彦旻先生よりご報告いただきました。

人文社会系研究者のための電力工学入門
- 再生可能エネルギーの系統連系問題を理解するための基礎知識 -

安田 陽 先生

 本講演は、人文社会系研究者に向けて、再生可能エネルギーの系統連系問題を理解するために電力工学の基礎知識を教えることを目的とした。まずは電力系統に関連する用語の定義について説明した。送電と配電、高圧と低圧、及び国内外の分散型電源の定義を中核として、詳しい概念を紹介した。そして、分散型電源の三つの課題を討論した。1番目の問題は需給調整問題である。需給バランスを調整するために、調整力と予備力が必要だと指摘された。予備力は瞬動予備力、運転予備力、待機予備力に分けられた。また、世界で活発に議論している「系統柔軟性」という概念も挙げられた。続いて、「需給調整責任は誰が担うか」という質問について、日本の古典的考え方に比べると、ヨーロッパのBRPシステムの方を提唱した。2番目の問題は電圧上昇問題である。昔配電線に太陽光がたくさん入ると電圧が制御できないが、電圧制御はすでに技術的に確立されたと指摘した。3番目の問題は慣性問題である。分散型電源を大量導入すると系統安定度が低下するが、「出力抑制」、「擬似慣性」、「周波数変化リレーの緩和」、「同期調相機」、「新技術(デジタルグリッド、電力パケット)」などの解決方法があると指摘した。最後に、再エネは電力系統に悪影響を与えるかについてもう一度話し合った。

pdf資料(8.44MB)

Healing Climate Policy’s Achilles Heel
- How California and Germany Compare in Treating Transport Fuels in Cap-and-Trade -

Sven Rudolph 先生

 本報告は、カリフォルニア州とドイツが「キャップアンドトレード」というシステムの中に輸送燃料費をどのように扱っているかについて討論することが目的であった。まずは環境団体や個人の声明を引用して、地球温暖化による気候変動の危険性に注意を払うよう呼びかけた。次に、「キャップアンドトレード」が広く受け入れられて、拡大されていることを示した。それに、国レベルだけでなく、環境連邦レベルでも展開できると指摘した。最後に、カリフォルニア州とドイツの「キャップアンドトレード」システムの設計と運輸部門の炭素削減目標を比較して、それぞれの長所と短所を明らかにした。また、運輸部門も欧州排出量取引システムに含めるべきであると提案されている。

pdf資料(1.48MB)

中国の気候変動・カーボンプライシング政策

何 彦旻 先生

 本報告は、現在中国の気候変動・カーボンプライシング政策を紹介することを目的とした。まずは「エネルギー・工業起源二酸化炭素排出量」、「主要排出国の排出量(総量と一人当たり)の推移」、「中国の二酸化炭素排出量」、「炭素強度」、「中国のエネルギーミックス」、「中国の排出削減ポテンシャル」などの図表から参考し、中国の二酸化炭素排出状況を把握した。次に、中国の気候変動対策の推移を述べて、「総量規制」、「炭素税」、「排出量取引」を初め、二酸化炭素排出削減に関する政策手段を説明した。続いて、全国排出量取引制度導入までのプロセスを紹介し、パイロット排出量取引制度の規模と基本状況、炭素取引市場の動向と取引状況、義務履行率などの内容も説明した。また、全国的な炭素排出量取引市場を構築するための重要ポイントを強調した。最後に、いくつかの今後の研究課題を挙げて終わりとした。

pdf資料(2.5MB)