京都大学 大学院経済学研究科・経済学部

留学体験談 -experience-

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北京大学 -Peking University-

研究・学習成果 -studying-

  • 学問としては、私は主に中国社会におけるビジネスと金融について学びました。中国社会におけるビジネスに関しては、授業での中国社会の現状のインプット、メルセデスベンツの現地工場見学、そしてクラスメイトとのディスカッションを通して、ビジネスという観点から見た中国の現状を理解するとともに、成果として、実際の新規事業を想定し、いかに海外企業が中国市場に進出するべきかを期末にプレゼンしました。クラスは少数の現地学生と多数の多国籍の留学生で構成され、各チームもあらゆるバックグラウンドをもつ学生が協働できるよう分けられました。チームのディスカッションの中で、私は語学力や意見の正当性にかかわらず、積極的に議論に参加し自分の価値をたかめることの重要性を痛感しました。また、金融に関しては、京都大学での授業内容とそう変わらなかったものの、チームに分かれて課題をこなすなど、またもやチームワークや協働性が問われました。基本的な知識から実際のケースを取り扱った学習まで授業で扱われ、チームの仲間とは刺激的なミーティングをつくることができました。

出発前の各種手続き、準備 -preparation-

  • 北京大学は出願からの受入許可発行まで期間が長く、受入が正式に許可されたのは学期が始まる2か月間程でした。ドミトリーの確保に関しては、通常大学のサイトから寮の部屋の予約をするのですが、予約期間が始まった数分後には部屋がすべて埋まってしまうので注意が必要です。出発前の手続きは、最低限ビザの申請とドリトミーの確保の二つを抑えておけば特に問題ありませんが、事前に現地での銀行口座開設の方法や、郵便物の受取り方法、留学先の国で使える便利なアプリ等をリサーチしておくとさらに留学がスムーズにスタートできると思います。
  • 留学が2学期からだと中国へ出入国自由のX1ビザ、1学期だと本帰国までの出入国不可のX2ビザが申請できます。北京大学からビザ関係の資料が届いてきて初めて申請可能です。

寮生活、その他生活 -living-

  • 北京大学の寮は大きく分かれて2種類あります。現地の学生と同じ寮と留学生向けの寮です。中国の大学はほとんど全寮制で、キャンパス内に全生徒を収容できる寮が立ち並んでいます。現地の学生と同じ寮は、4人程度の相部屋で、シャワーやトイレは共用です。日本人からすると清潔な印象はもてないかもしれません。ただ、現地学生との交流を積極的に図れるのは間違いありません。留学生用の寮は前者からすると圧倒的に清潔です。棟にもよりますが、基本的に1人1部屋割り当てられ、隣の部屋の人との共用スペースがあります。また電子レンジやキッチンなど、設備は不十分にせよ各階にいくつか共用のものが設置されています。ただ、留学生向けの比較的綺麗なこの寮でも、シャワーや蛇口から泥水が出てきたという部屋もあります。また、トイレに関して、中国国内のトイレは基本的に和式が多いのですが、留学生向けの寮は洋式になっています。北京の冬は非常に厳しいですが、寮の建物内は暖房設備が備えられているため部屋の中で寒さを感じることはありません。
  • 最も大変だった学生寮について、私は中関新園という学校のすぐ隣の留学生寮に滞在しました。中関新園が北京大学で一番規模の大きい留学生寮です。中関新園で部屋を借りると1泊110元。五道口や中関村といった北京大学の付近では不動産が高く、条件は日本よりも確実に劣ります。風呂トイレキッチンを2~4人で共用するタイプの部屋で2000元~、日本のようなワンルームアパートだと5000元はします。
  • 中関新園は男女共用、築5~10年くらい(※2020年時点)で、シャワールーム、トイレ、リビングを二人で共用、それぞれの寝室があります。二人で共用する部分については2日に1回簡単な清掃が入ります。建物内に洗濯機、乾燥機、自習室、簡単なキッチン(レンジとIHコンロが1つ、シンク)があります。寮の近くには食堂、コンビニがあり便利です。教室まで徒歩10分くらいです。新しく比較的綺麗な寮ですが難点が2つあります。1つ目は冬場の空調。部屋にはエアコン(温冷)と、”ぬあんちー”(暖気)という備え付けの暖房があります。”ぬあんちー”は国が提供する一括暖房システムであり11月から3月にかけて提供されます。厄介なことに自分では温度調整も止めることもできません。私の部屋が南向きということもあり室温が30度ちかくとかなり暑くなりました。窓を開ければ、外は申告な大気汚染であり、暑さを我慢するか大気汚染を我慢するか、のジレンマに悩まされました。2つ目は蚊の多さ。日本から対策グッズを持って行った方が良いです。

留学中の問題点・困難な点 -difficulties-

  • 北京で生活するにあたっての最大の問題点は大気汚染と冬の寒さだと感じます。大気汚染に関しては、ここ数年で大幅に改善されていますが、それでも平日北京郊外の工場が動いている間は空気は非常に汚いです。したがってマスクを持っていくなり現地で購入するなりして、喉や肺が弱い人は十分対策をするべきです。また冬の寒さは日本とは比べ物になりません。冬着はかさばるため日本から送ったり中国の通販サイトなどで冬着を現地調達したりするのがよいでしょう。また、道路の交通状況は非常に危険です。信号無視や路側帯の逆走をする人も多いため、十分気を付ける必要があります。何より交通量がとても多いです。現地のバイクは比較的安く購入できて免許なしで運転することができます。しかしその分危険な場面にであうことも多くなるため、現地でバイクを利用するときは安全にしっかりと注意を払わなければいけません。

当初の目標と達成度、これから留学する人へのアドバイス -achievement and advises-

  • 当初の目標の達成率は60%です。心から満足した留学にすることができなかった理由は、自分の自信のなさだと思います。留学に向けた準備量や日頃の思考量や勉強をおろそかにしていたことが、根本的な部分で自分の自信をなくしてしまっていたのだと感じます。このことで留学先では最大限アクティブに、積極的に主体的に行動することが出来なかったと感じます。また留学期間は学校の授業ばかりで終わらせてしまっては非常に勿体ないです。学外の活動や交流会など小さな小さなきっかけ、機会から、非常に大きな出会いが生まれることもあります。特に留学期間ではそうだと思います。私が留学で非常に良かったと思えることは、留学が終わり、帰港した後でも繋がりが続いていくだろうと自信をもてる人間関係を現地で構築できたことです。留学中だからこそ、人との出会いを普段以上に、大切に大切にしてほしいと思います。